お天気ライブカメラを設置してみた

年三日坊主のKKです。

 暑さ寒さも彼岸までとはよく言いますが、本当に秋のお彼岸を過ぎたら急に涼しくなって「一年中こんな気候なら良いのに」と思う今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。


 以前の記事で拙僧の両親を取り上げたことがありましたが、拙僧の実家のお寺は山の尾根の先端にあってとても見晴らしが良いです。
 そのため、以前からお天気ライブカメラ配信をしたいと考えていたのですが、先日ついに配信テストまで漕ぎつけたので実際に設置するまでに考えたことを書き残しておきたいと思います。

1.設置目的
 設置目的は「境内地からの眺望や空模様を配信し、参拝のきっかけにして頂くこと」とします。

 屋外の公共空間にカメラを設置する際には、その設置目的が問題になります。
 例えば、京都府の「防犯カメラの管理・運用に関するガイドライン」によると以下がガイドラインの対象となるとされています。

  • 主として犯罪の防止を目的とするカメラ
  • 次の場所などに設置し、不特定多数の人を撮影するカメラ
     道路、公園、商店街、駅などの自由通路、金融機関、商業施設、駐車場、社寺など
  • 画像を記録し表示する機能を備えたカメラ

 つまり、不特定多数の人が映り込むといろいろ面倒というわけです。

 従って、今回は不特定多数の人が映らないような配慮の上で風景だけを配信する「お天気ライブカメラ」としました。
 今後、参道や墓地など不特定多数の人が映り込むような場所への設置も考えていきたいですね。

2.配信方式
 当初は以下の方式を考えました。

A.Webカメラ+ミニPC+Webサイト
 ミニPCに接続したカメラで撮影した動画をリアルタイムにエンコードしてWebサイトから配信する方式

B.IPカメラ+ミニPC+Webサイト
 LANに接続できるカメラで撮影した動画をミニPCで一旦受信し、リアルタイムにエンコードしてWebサイトから配信する方式

 どちらも先人のノウハウが公開されており技術的には実現可能ですが、動画のエンコードにPCを常時稼働させる必要があるのがネックです。
 カメラだけでなくPC自体の保守が必要ですが今回は撮った映像をストレートに配信出来れば良いだけですのでPCなど余計な要素は省きたいです。

 また、配信用のWebサイトもあまり手間やお金を掛けたくありません。
 そこで、シンプルにカメラとクラウドサービスを組み合わせたソリューションに全乗っかりすることも考えました。

C.クラウドカメラサービス
 いくつかの会社からソリューションが提案されていますが、拙僧が具体的に検討したのはソラコムの「ソラカメ」です。
 4千円ほどの専用カメラを購入して設置し、クラウドサービスに定期課金することで配信することができます。
 これはお手軽かつ確実ではあるのですが、24時間365日常時録画で運用するとなると月々の支払いがそれなりにかかります。

D.YouTube+YouTubeへの直接送信機能付きカメラ
 今回、採用したのはカメラ単体で映像をエンコードし、YouTubeのライブ配信用URLへ直接送信できる機能を持ったネットワークカメラとYouTubeを組み合わせる方式です。
 YouTubeライブ配信は録画のアーカイブも含め無料で利用できますし、途中にPCなどを介さないのでシンプルで保守性も良いです。
 具体的な製品としてはアイ・オー・データの「TS-NA230WP」です。

3.設置課題
TS-NA230WPの具体的な設定やYouTubeライブ配信方法などは丁寧なマニュアルが提供されているのでここでは解説しません。
ネットワークカメラを用いたYouTube ライブ配信活用手順書

カメラ設置で問題になるのは電源と通信です。

 TS-NA230WPの場合、PCを必要としないので通信については、カメラから直接YouTube(インターネット)に動画を送信出来るだけの帯域を持った安定した通信経路が必要です。
 当初はWi-Fi無線LANでの接続を想定して、設置予定場所が見通せる建物の角にWi-Fiのアクセスポイントを増設したのですが、思ったより電波が安定しないことが判明しました。
 どうやら実家のお寺は山の尾根の先端にあるので、見晴らしの良い場所では町中からのWi-Fiの電波を拾ってしまい大混線状態に陥るようなのです。

 電源については、カメラ設置予定の屋外トイレまで電気は引かれているのでコンセントにACアダプタを差すだけ、、、と思いきや、コンセントからカメラを設置する軒先までの配線が必要です。
 しかも、屋外ですからACアダプタが風雨で漏電しないようにカバーする必要もあります。
 防水のコンセントボックスも用意したのですが、父から「そんな大層なものを付けなきゃいけないのか」と苦言を呈され再考した結果、次のようになりました。

  1. 増設済みのWi-Fiアクセスポイントまで引いた有線LANにPoE給電機能付きのハブを追加
  2. 屋外トイレまでの既設架空電線に沿って屋外用有線LANケーブルを架線
  3. PoE給電機能付きのハブと屋外トイレの軒先に設置したTS-NA230WPを有線LANで接続

TS-NA230WPにはハブからPoEにて電気と通信が同時に供給されるため、安定した通信と電源共有に加え、見た目的にも非常にスマートに設置することが出来ました。

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4.まとめ
 まだ、YouTubeでライブ配信ができることをテストしている段階ですが、いつでも実家の空模様を眺められるのは楽しいです。
 恐らくお墓参りの檀家さんなどにとってはお墓の込み具合なんかも気になるところだとは思うので、京都府のガイドラインに沿ったカメラの追加設置も考えてみたいと思います。

西法寺ライブカメラ(京都府舞鶴市)livecam00