ドメイン名の使い捨てはやめよう

年三日坊主のKKです。

怒涛のような1月が終わりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
拙僧は毎年恒例のココイチ創業祭でスプーンをコンプリートするまでグランド・マザー・カレーを食べ続ける戦いに明け暮れております。
(なお、記事執筆時点でスプーンは1本しか当たっていませんが、ネコイチのラバストはコンプリートしていることをご報告します。)


昨年(2023年)は「ドコモ口座」のドメインを筆頭に多くの運用が終わったサイトのドメインが第3者の手に渡る(渡りそうになる)ことがニュースになった年でした。

当社でも当社サービスをご利用のお客様のために「ドメイン取得・保管サービス」を提供していますが、「中古ドメインはSEO対策に最適!」として積極的に失効したドメインの販売に力を入れている事業者もあるようです。


ドメインの管理・運用に詳しくない方の中には失効したドメインを第3者が再利用することを盗用や乗っ取りのような「悪いこと」と捉えられている方もいらっしゃるようですが誤解です。
これはドメイン名というインターネット上の資源(リソース)を有効に運用するためのルールに従った正当な運用です。
詳細はJPドメインを管理するJPRSのサイトをご参照頂くのが良いかと思います。

JPドメイン名のライフサイクル(JPRS)

しかしながら、失効したドメインが第3者の手に渡ることは元々そのドメインを使用していた組織や、そのドメインでかつて提供されていたサービスの利用者にとっては悪影響を及ぼす恐れがあることもまた事実です。
冒頭で紹介したニュースのように公共性の高いサービスを提供する企業や政府・自治体が利用していたドメインともなれば、Webサイトだけでなく印刷物などで広く周知され、サイト運用が終了した後でも当該ドメインへのアクセスは十分に考えられます。
この辺りの課題や実際の事例については以下をご参照ください。

上記のInternetWeak2022「DNS DAY」の中では利用終了したドメインの扱いについて、NTTコミュニケーションズ社とリクルート社の事例が紹介されていますが、簡単にまとめれば次のようになります。

  • NTTコミュニケーションズ社
    利用終了後もドメインへのアクセス状況を監視し、一定以下までアクセス頻度が下がれば失効させ手放す。
  • リクルート社
    利用終了後も半永続的に自社ドメインパーキングで保持。自社やグループ内から再利用希望があれば提供。

個人的にはドメイン名本来のライフサイクルを考えると手間はかかりますがNTTコミュニケーションズ社のやり方に好感を抱きます。
しかしながら、実際の運用の手間やリスクを考えるとリクルート社のやり方がシンプルで意外に低コストだなとも感じます。

「利用していないドメインを維持する予算が出ない」というお話も伺いますが、ひとたび不本意な形で再利用されたら、その対応に要するコストはドメインを数年維持するコストを遥かに上回る可能性があります。
また、リクルート社の事例で興味深かったのは「ドメイン名とはブランドである」という考え方です(2年前の話なので正確な言い回しは違ったかもしれませんが)。
一般にブランドは様々なコストをかけてその価値を高め維持するものですが、あるドメインがサービスやサイトとして価値を提供した結果、価値を帯びてブランドになると考えれば利用終了によって、それを手放すことはブランド価値のあるドメインをタダで手放すことと言えます。
もちろん、多大な広告費が投下されるリクルート社のサービスのドメインと単純に比較することはできませんが、

  • ドメインの値段というのは単純に維持費だけで計算できるものではない
  • 手放したドメインをどのように再利用されても文句は言えない

ということは手放す前によくよく考えて頂きたいと思います。

なお、最後「ドメイン名の使い捨てをやめろ高校校歌」ネタで〆たかったのですが時間切れです。
皆さんの力作をハッシュタグ #ドメイン名の使い捨てをやめろ高校校歌 でお寄せ下されば幸いです。

◆参考