年三日坊主のKKです。 Windows10のサポート期間が2025年10月14日で終了ということで、実家の両親が使っているPCをWindows11に切り替えるにあたり、単純なPCのリプレイスではなくPCの仮想化を実施したので、その内容をメモ代わりに書き残しておきたいと思います。
1.元の環境、利用状況
まずは父
- 実家のお寺の住職。元教員。
- 学生時代からタイプライターを使い、平成初期から日本語ワープロ、PCとキーボード入力に自信あり。
- スマホは字が小さく指が太くて使いにくいと言って、可能な限りPCからキーボード入力したがる。
- お寺関連事務のためWordとExcelを使う。
- ブラウザで毎日ネットサーフィン(死語)大好き。
- YouTubeも結構見ているが、ここ数年はネットフリックスでドラマや映画を見ることが多い。
次に母
- 実家のお寺の坊守。華道、茶道の先生。
- 普段はスマホで事足りると言ってPC利用頻度は低め。
- スマホでYouTubeやInstagramなどを見ている。
- 華道、茶道などの事務のためノートPCを使う(主にWord)。
- 用事が無ければPCを起動しないので使おうとするとWindowsUpdateが走ってすぐに使えないのが不満。
2.課題と対策
- トラブル時の対応のためリモートで管理できる必要がある。
同居してれば直接操作して直せば良いので簡単なのですが、離れて暮らしているとそう簡単にはいかないので、リモートでどうにかできるようにしておきたいです。 - 利用者がPCを起動していないとリモート管理ができない。
PCが起動していなければリモート管理の仕組みを入れても手出しができません。
つまりPCと端末を分離してPC自体は常時稼働でリモート管理下に置き、利用者は使いたいタイミングでそのPCを使うというスタイルにする。
3.実装内容
◆PC本体
Windows11に対応した最近のCore i7、Ryzen 7クラスのCPU、メモリは64GBくらいの物理PCを用意しました。
なお、ゲームとかしないのでグラフィック性能は用途的に低くてOKです。
◆OS
今回はWindowsのHyper-Vを使ってPCを仮想化するので、Windows11Proのライセンスを3つ買いました。
ひとつはHyper-Vのホストでありリモート管理の待ち受け側にもなる物理PC用のライセンス。
残り二つは両親が使うPCの実体となる仮想マシンゲストOS用のライセンス。
ゲストOSはProではなくHomeでも良かったのですが、あとでProに切り替える必要が出てきても面倒なので最初からProで揃えています。
◆Office
拙僧と両親はMicrosoft365Familyサブスクリプション契約を共有しているので、これを引き続き利用します。
(今は個人向けMicrosoft365ライセンスでも商用利用OKなので宗教法人業務に使っても大丈夫)
◆物理PC(仮想化ホスト、リモート管理ホスト)
Windows11Proを拙僧のアカウントでセットアップし、Hyper-Vを追加。
Hyper-V上にWindows11の仮想マシンを2台作成、両親それぞれのアカウントでセットアップを実施。
◆仮想PC(仮想化ゲスト)
両親それぞれの仮想PCに拙僧のアカウントを管理者として追加。
前述の通り両親ともに拙僧とMicrosoft365Familyサブスクリプション契約を共有しているため、Office365系はアカウントに紐づいて自動で移行されます。
この辺り、MicrosoftアカウントとOneDriveに依存すると割り切れば非常に簡単です。
それ以外ではプリンタ設定を追加する必要がありました。
◆クライアント端末
Windowsリモートデスクトップ接続できれば何でも良いだろうと甘く考えていて、最初はAndroidタブレットやiPadでの利用も試したのですが、現在はChromeBook(Box)端末からAndroidアプリ版のMicrosoftアプリ(旧リモートデスクトップアプリ)で仮想PCに接続して貰っています。
本当はWindows RDP専用のシンクライアント端末を使わせたかったのですが業務用(法人向け)しかなくて高いんですよ。
(「お寺も宗教法人やろ」というツッコミは正しいけど、端末2台じゃちょっと割に合わない)
そこで当初は外出先でも大きな画面で多用途に使って貰えるタブレットやiPadからリモートデスクトップ接続で使って貰おうと考えたのですが、日本語入力の問題やタブレット自体が多機能すぎることが災いして両親から「(PCとして)使いにくい」とクレームを貰いました。
Androidアプリ版のリモートデスクトップ接続自体は悪くないことから、Androidアプリが使える今どきのChromeBookを端末として使うことで一旦落ち着いています。
なお、母にはノートPCスタイルのChromeBookを使って貰っていますが、フルキーボード必須の父には据え置き型ChromeBookであるChromeBoxにキーボード、マウス、モニタを接続して使って貰っています。
◆その他
・リモートデスクトップ接続状態でネットフリックスを全画面表示すると画質が悪い
→リモート接続ではなくChromeBook(Box)上でNetflixアプリを使って全画面表示する
・リモートデスクトップ接続したまま端末をスリープさせると復帰後に日本語入力が正常にできなくなる
→再接続で解消する
4.まとめ
OS変更とPC仮想化を同時に実施するというチャレンジだったので、両親には不自由をかけてしまいましたが、問題があればリモートで対応できるようになったので拙僧側の課題は解決しています。
また、全部を一気に変更するのはこれが最後で、将来のOS、ホストPC、端末がEOLを迎える際には、それぞれ個別に切り替えることができるというのもメンテナンスする身としてはありがたいです。
なお、今回構築した環境はそれほど難易度の高いものではありません。
Hyper-Vの代わりにProxmox使えば物理PCはWindows11非対応のものを使うこともできますし、リモート接続の際にWindowsリモートデスクトップ接続の利用に拘らなければ仮想PCのWindowsOSはHomeエディションでも実現できると思います。
今回は利用者である両親にはかなり背伸びをさせて新しい環境に無理やり移行させた感がありますが、利用者のITリテラシーやメンテナンス担当の担える負担に応じて要素は選択されると良いと思います。
以上、ご参考まで