テスト環境の間違いに注意しよう

LyRH1819
2024-12-11
2024-12-11

・テスト環境の間違いに注意しよう


多数のテストを実施していく中で、本番環境を触ると言う事は多くありません。用意されたテスト環境の方を利用し、そこで動作の確認を行っていきます。例えば、大量のデータを投入したり、各種機能の動作確認を行ったりと内容は様々です。その内容の中には『テスト環境だからやっても良い』と言った事も存在します。なので今回は『テスト環境の間違いに注意しよう』と言う内容に触れていきたいと思います。

テスト環境間違い

『テスト環境』と言っても実際には様々な種類が存在します。よく登場するのは以下の二つです。

・テスト環境
正真正銘のテスト環境でテスト実施者が一番長い付き合いになる所ですね。『テスト環境~』と呼び名が付いてくる事もありますが取り扱いは同じ。開発者の皆様が作った物を実際に想定した通りに動いているかを確認する為の実験場です。テスト仕様書に従って動作確認を行い、多くの不具合をここで発見する必要があります。システムの管理設定や追加データ等、テスト実施者側に制限なく変更が加えられる環境でもあります。うっかり負荷をかけすぎて、環境を落としてしまっても大丈夫である事が多く、逆にどの様な手順で落としたか聞かれる事もあります。

・ステージング環境
本番環境に限りなく近い設定のテスト環境の事を基本的にこう呼びます。テスト環境で発見した不具合の修正や機能修正等を行い、本番前の最終確認として利用される事が多いです。各種設定が本番環境とほぼ同じ為、テスト実施者が自由に設定変更する事は無く、利用出来るデータにも制限をかけられる事が殆どになります。本番環境の設定に近いと言う事で、テスト環境では起きなかった不具合が見つかる事もあります。これは設定が元々違ったり途中で変わったりする事で起きる事が多いです。

※実際には同じテスト環境でもバージョン違いが存在したり、特定の内容確認に特化した環境が作られる事もありますが、取り扱い自体は同じです。



開発が長引いてくるとテスト環境が複数になって来る事も多々あります。先程書いた様にバージョン違いが次々増えたりしますし、テスト環境とステージング環境を行ったり来たりする事もあります。そうなって来た時に、兎に角注意したいのが『テスト環境間違い』です。

・ステージング環境で確認しないといけない内容を、テスト環境で確認していた
・テスト環境1.1で確認する内容を、テスト環境1.0で確認していた
・うっかりステージング環境の設定を書き換えてしまった

物凄く単純な内容ではありますが、これは間違えると大事故になります。そしてこれは見た目自体は、どの環境であっても基本的に同じに見える事から一度見逃すと気が付くのが難しいです。そのまま不具合が直っていないのに直っていると勘違いしたり、直っているのに直っていませんと報告したりすると多くの時間を無駄にしていまいます。なのでテスト環境間違いと言うのは絶対にやってはいけません。

そんな事は誰でも理解している事がですが、実際に環境間違いは起きます。
幾つか例を出してみましょう

例①:テスト依頼者側が環境を間違えて伝えている(テスト環境とステージング環境)
これは偶にあります。ただ不思議な事に依頼者側で間違えていると、テスト実施者側で「聞いていた環境と違う様な?」となって再確認が行われ、そのまま間違った環境でテスト続行となる事は少ないです。

例②:テスト環境バージョン違い
テスト実施者がテスト環境を間違える一番多いパターン。「テスト環境1.2で確認お願いします」と言われていたのに、テスト環境1.1で確認してしまう。やる前に気が付くと思うでしょうが、気が付かないままやってしまう事も多々あります。これは実施者側での確認不足や思い込みにより発生してしまいます。因みにこれは実施者側でテスト環境の管理が出来ていないとも言えます。

殆ど無い事例ではありますが、テスト環境にバージョン表記がされていない事があります。基本的には画面のどこかに『テスト環境1.1』と表示されていたりするものですが、極稀に無い時があります。こうなってしまうとテスト実施者はずっと「この環境であってますよね?これはテスト環境1.1で間違いないよね?」と不安を抱えたままになります。更にテスト環境1.1と1.2の比較確認とかになると、どっちがどっちか分からなくなります。こう言う時は素直に開発者側へと連絡し、テスト環境表示を入れて貰いましょう。安心してテストする為の簡単な手間を惜しむ必要はありません。

様々な環境が増えてくると管理するのも一苦労となります。バージョン違いと言うのが特に厄介で、テスト環境1.1、1.2、1.3と増えて行っても古い環境もそのまま利用され続けます。「新しいのが出来たから、これから全部そこでテストします」とならないのが開発者としてもテスト実施者としても大変な所ですね。「テスト環境を増やしたくない」と思っていても、どうしても増えて行ってしまうのは仕方がない事ではあります。

テスト環境を間違えると大事故に繋がる事もありますので、出来る限り避けたいです。
なのでテスト依頼者側とテスト実施者側でお互い確認を取り合うのが有効です。

やり取り例①
依頼者:テスト環境でテスト実施お願いします。
実施者:了解しました。

ではなく、

やり取り例②
依頼者:テスト環境X.Xで確認をお願いします。対象環境はこちらです(URL等)。
実施者:了解しました。テスト環境X.Xで実施します。

と言った風にすると間違いが起きる可能性が減ります。お互いに「環境X.X」と認識合わせをしておく事は効果があります。ちょっとした気遣い程度の事ですが、他人が書いた内容を読むと頭の中で再確認が行われるので、思い込みや勘違いを減らせます。うっかり間違えていたとしても、かなり早い段階なのでお互い嫌な気持ちになる事もないでしょう。何事も訂正の速さは大事です。

時間も労力も無駄にしてしまうテスト環境間違いは出来るだけ避けたいですよね。増え続けるテスト環境には誰もが苦労するので、ちょっとした配慮から間違いを減らしていきましょう。

おまけ
・本番環境
テスト環境ではない実際に運用されている環境の事
テスト実施者がテスト目的で触る事は殆ど無く、「実際に使われている所はどんな風になっているのか」と気になった時に見に行く程度。テストしてた機能が実装されて動いていると嬉しい。