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テストを実施していると不具合と遭遇するのは基本的には当たり前の事です。テスト項目に従って実施している時に遭遇したり、事前準備の段階で遭遇する事もあります。そう言った場合、ある程度の手順が明確化されているので、「何をどうしたのか」と言う部分は簡単に整理する事が出来ます。なので不具合報告も「●●が××で◆◆と言う手順で不具合が出ました」と特に悩む事無く行えます。では、テスト項目やテスト準備段階以外で不具合を見つけた時はどうでしょうか。
テスト項目にはない部分の操作を行っていた時、「今何か変だった気がする」と感じた瞬間があったとしましょう。その様な時は既にその動作は終わり、次の操作に移っていたとしても前の段階に戻りもう一度動作を確認するべきです。もう一度動作を行って問題が無かった時、違和感を感じた時と何が違ったのかを記憶を頼りに思い出しましょう。特別目立たない事であったとしても、感じた違和感を無視してはいけません。
実際の例で言えば、スマートフォン等で場面に表示されいている特定のボタンを、スクロールによって特定の位置に動かした上で、そのボタンを押すと押下判定位置がずれると言った事がありました。これは単純にボタンの反応が悪いのかと思い、画面を何度も押下していた際に見つけた動作です。何度も押しているとボタンが反応し画面が切り替わりましたが、その一瞬に表示される枠がボタンの位置よりも下側に表示されていたのです。
①.ボタンの反応が悪い
②.再び動作確認をした際には問題がない
③.①と②の違いは画面スクロールによって、ボタンの表示位置が違う
④.記憶を頼りに①の状態を再現し、判定位置がずれている事を確認
これはあまりにも地味な事ですが、この微かな感覚はテストにおいて重要です。この感覚を積み重ねていく事で自身の動作確認による再現性が高くなり、手順説明が詳細になり他の人でも再現が容易となります。例題として出したものはかなり地味なので、気にしすぎている範囲ではあるかもしれませんが、ユーザーが「このボタン反応悪いな」と思う可能性を減らす事は確かにできたのです。
他にはエラー動作の確認をしていた時、色々な組み合わせによって不具合の再現は出来ていたとしても、その中で「特定のデータを選んだ時は妙に発生率が高いな」と言った感覚はエラー動作の解決に役立ちます。動作確認をしていた一人がそう感じていたなら、根拠として薄いかもしれませんが、その様に感じている人が増えれば、感覚は「確かな根拠」に変わっていきます。実際の動作の中で「特定の順番、特定のデータを利用した際のエラー発生率が高い気がします」と言った様な報告をする事で、問題箇所の発見や投入されているデータに問題が有る等を早急に見つけやすくなります。
テスト中において、手放しで個人的な感覚や記憶だけで判断するのはよくありません。しかし、様々なテストを行ってきた上での感覚や記憶は、違和感を掴む材料となり不具合の発見に繋がります。直感だけで判断しない事、同時に一瞬の違和感をそのまま流してしまわない事、これらの両方を上手に扱う事で、まだ見ぬ不具合の発見や不具合の早期解決に近づくと言う話でした。

