こんにちは!
Nishiです。前回はMagentoの動作モード についての記事を書きました。
今回は、Magentoでマルチサイトを運営していく時に重要となってくる「スコープ」という概念について書いていきたいと思います。
4つのスコープ
スコープは、1つの管理画面で複数のサイトや店舗を運営する際に、それぞれのサイトや店舗で扱えるデータの範囲を制限したり、特定のサイトや店舗にのみ変更を適用するための仕組みです。
また、スコープはグローバル、ウェブサイト、ストア、ストアビューの4階層で構成されており、以下のような構造になっています。
■グローバル
グローバルは最も広い唯一のスコープであり、追加や削除することはできません。
このスコープは、Magento全体に関する設定や、各スコープのデフォルト値として使用されま
す。
また、製品データの場合、全てのスコープのデフォルト値となり、新規登録時にはまずこのスコープで保存されます。
■ウェブサイト
ウェブサイトは複数サイトで展開する場合に用いるトップレベルの分類になります。
グローバルとは異なり、作成や編集、削除することができます。
異なるドメイン、配達方法、支払い方法等でサイトを展開したり、取扱商品のラインナップをサイトごとに分けたい場合に使用されます。
■ストア
1つのウェブサイトには複数のストアを含めることができ、ストア毎に異なるカテゴリーメニューを設定することができます。
ストアも、作成や編集、削除することができます。
同じウェブサイト内の各ストアは、同じ製品カタログを持ちますが、複数あるルートカテゴリーの中から選択し、異なるカテゴリーツリーでストアを展開する際に使用されます。
■ストアビュー
各ストアはデフォルトのビューを1つ持つ前提ですが、複数のストアビューを含めることができます。
ストアビューも、作成や編集、削除することができます。
利用者の言語に対応して画面表示を切り替えることができ、ストアビュー毎に言語を設定することで多言語対応を行うなど、細かな違いを管理することができます。
ウェブサイト、ストア、ストアビューの作成方法
それでは、実際にウェブサイト、ストア、ストアビューを作成してみましょう。
ウェブサイト、ストア、ストアビューの作成は、ストア一覧画面からおこなえます。
また、ストア一覧画面は STORES > All Stores をクリックすることで表示できます。
■ウェブサイトの作成方法
まず、ウェブサイトを作成します。
①ストア一覧画面の「Create Website」をクリックし、ウェブサイト作成画面を表示します。
②ウェブサイト作成画面の各項目に任意の値を入力します。
今回は以下の値を入力します。
・Name: A_Site
・Code: a_site
※Nameはウェブサイト名、Codeは一意の識別子(ID)になります。
Sort Orderはウェブサイトの表示順を変更したい場合に使用します。
③最後に「Save Web Site」をクリックするとウェブサイトが作成できます。
■ストアの作成方法
次に、ストアを作成します。
①ストア一覧画面の「Create Store」をクリックし、ストア作成画面を表示します。
②ストア作成画面の各項目に任意の値を入力します。
今回は以下の値を入力します。
・Web Site: A_Site
・Name: A_Store
・Code: a_store
・Root Category: Default Category
※Web Siteは今回作成するストアの親となるウェブサイトを選択します。
Root Categoryはストアが使用するルートカテゴリーを選択し、
ストアで表示される全ての製品がこのルートカテゴリーに関連付けられます。
③最後に「Save Store」をクリックするとストアが作成できます。
■ストアビューの作成方法
次に、ストアビューを作成します。
①ストア一覧画面の「Create Store View」をクリックし、ストア作成画面を表示します。
②ストアビュー作成画面の各項目に任意の値を入力します。
今回は以下の値を入力します。
・Store: A_Store
・Name: A_Store_view
・Code: a_store_view
・Status: Enabled
※Storeは今回作成するストアビューの親となるストアを選択します。
Statusはストアビューの有効/無効の設定になります。
有効の場合はフロントエンドで表示されます。
③最後に「Save Store View」をクリックするとストアが作成できます。
ウェブサイト、ストア、ストアビューを作成すると以下のようになります。
スコープの確認と切り替え
続いて、製品画面で項目がどのスコープに設定できるのか確認していきます。
管理画面で製品データを新規登録する場合は、まずグローバルスコープのデータとして登録されます。
■スコープの切り替え
製品データを特定のスコープのみ変更したい場合、対象の製品データの編集画面を表示し、左上のプルダウンから目的のストアビューに切り替えます。
■スコープの確認
編集画面の各項目名の箇所には、小さく[global]、[website]、[store view]の表示があり、それぞれの項目がどのスコープに保存されるのかが記載されています。
この表示を確認することで、どのスコープに対して製品データが設定されているかを把握でき、必要に応じて変更することができます。
最後に
Magentoのスコープはマルチサイト管理において、とても重要な概念になり、
グローバル、ウェブサイト、ストア、ストアビューという4つの階層を利用することで、特定のサイトやストアに合わせた情報にカスタマイズすることができます。
Magentoを利用してマルチサイトを構築する際は、参考にしていただければと思います。