こんにちは、saeです。
インターネットや社内ネットワークをはじめ、周りには様々なネットワークが張り巡らされ、生活や仕事にはなくてはならないものとなっています。しかし、そのネットワークの重要性も様々で、費用対効果も異なります。今回は、信頼性向上について考えていきます。
1. 基本的な考えたについて
ネットワークの信頼性については、利用するシステム等が求める信頼性に関する要件によってサービスレベルが決まり、そのサービスレベルを実現、維持させる為に、設備や回線、運用等を変更し、信頼性を確保していく必要があります。
このことから、そのサービスレベルを明確にして、コスト効果等を考慮し、最適なサービスレベルについて整理していく必要があります。
2. サービスレベルの整理について
サービスレベルを整理する為の主要項目としては、信頼性以外にも、「セキュリティ」「性能」「ヘルプデスクの作業品質」があり、これらのサービスレベルは、業務の特性によって一般的には異なるため、これに対応可能なように複数レベルを設定し、最適なレベルを選択可能にすることが望ましいと思われます。
サービスレベルの凡例としては、以下の5レベルの設定が考えられる。
- レベルA (上位レベル)
- レベルB (中位レベル)
- レベルC (下位レベル)
- レベルD (特に規定無し)
- レベルS (上記レベルA~Dでは満足できない時に設定する特別レベル)
3. サービスレベルの内容例
サービスレベル主要規定項目 |
サービスレベル |
|||||
レベルA |
レベルB |
レベルC |
レベルD |
|||
可用性 |
サービス時間 |
運用対応 |
365日24時間 |
平日8:00~20:00 |
特定時間帯のみ |
規定無し |
保守対応 |
365日8:00~20:00 |
平日9:00~17:30 |
特定時間帯のみ |
規定無し |
||
稼動率 |
99.5%以上 |
99%以上 |
95%以上 |
規定無し |
||
障害復旧時間 |
15分以内 |
3時間以内 |
12時間以内 |
規定無し |
||
監視・通報 |
365日24時間 |
平日9:00~17:30 |
特定箇所や特定時間帯のみ |
規定無し |
||
セキュリティ |
利用者認証度 |
ID+パスワード+上位の認証方法 |
ID+パスワード |
特定ユーザのみID+パスワード |
規定無し |
|
データの完全性保証 |
データバックアップ+原本性確保+媒体遠隔地保存 |
データバックアップ+原本性確保 |
データバックアップ |
規定無し |
||
データのリカバリ |
障害直前トランザクションまで復旧 |
前日バックアップデータまで復旧 |
前回(複数日前)バックアップデータまで復旧 |
規定無し |
||
ログ保存期間 |
30年以上~永年 |
5年以上~30年未満 |
1年~5年未満 |
規定無し |
||
性能 |
帯域保証速度 |
1Mbps以上 |
0.2Mbps以上 |
0.1Mbps以上 |
規定無し |
|
ヘルプデスクの作業品質 |
放棄率 |
全コールの5%未満 |
全コールの10%未満 |
全コールの20%未満 |
規定無し |
|
バックログ率 |
全要求件数の5%未満 |
全要求件数の10%未満 |
全要求件数の20%未満 |
規定無し |
||
再コール比率 |
全要求件数の5%未満 |
全要求件数の10%未満 |
全要求件数の15%未満 |
規定無し |
||
基準時間完了率 |
全要求件数の90%以上 |
全要求件数の80%以上 |
全要求件数の70%以上 |
規定無し |
||
応答時間遵守率 |
30秒以内90%以上 |
30秒以内80%以上 |
30秒以内70%以上 |
規定無し |
(参考資料:総務省・公共ITにおけるアウトソーシングに関するガイドライン)
4. サービスレベルの評価項目について
サービスレベル主要規定項目での計算式を以下に記述します
(1) 稼働率
ネットワークが、本来利用可能な時間の割合を稼動率とする。
計算式:
稼動率=(実際に稼動した時間)/(サービス時間帯の合計時間)
(2) 放棄率
ユーザが電話をかけてからオペレータが応答するまでの時間が長い場合、ユーザが待ちきれずに電話を切ってしまうことがある。待ちきれずに切った件数の全コール数に対する割合を放棄率とする。ヘルプデスクサービスの作業品質を表す。計算式:
放棄率=(放棄コール数)/(全コール数)
(3) バックログ率
1日の業務終了時点で処理が完了しなかった件数の全要求件数に対する割合をバックログ率とする。ヘルプデスクサービスの作業品質を表す。
計算式:バックログ件数率=(その日のうちに処理が完了しなかった件数)/(全要求件数)
(4) 再コール比率
一度は解決扱いになった要求に対し、再度、同一のユーザが同一の要求で電話をかけてきた件数の全要求数に対する割合を再コール比率とする。ヘルプデスクサービスの作業品質を表す。
計算式:再コール比率=(解決扱いになった要求のうち、再度要求があった件数)/
(全要求件数)
(5) 応答時間遵守率
オペレータが決められた時間内に応答したコール数の全コール数に対する割合。
ヘルプデスクサービスの作業品質を表す。
計算式:全応答時間の平均値
(6) 基準時間完了率
基準時間内に解決した件数の全要求件数に対する割合を基準時間完了率とする。
ヘルプデスクサービスの作業品質を表す。
計算式:基準時間内完了率=((全通話時間+通話後の全作業時間)が基準時間内に解決した件数)/(全要求件数)