Apache MPM 3つの処理方式をざっくり解説

永井
2024-06-14
2024-06-14

はじめに

Apacheウェブサーバーは、インターネットの世界で活躍するパワフルな存在。
しかし、たくさんのアクセスを効率良く捌くためには、複数の処理方法を使い分ける必要があります。
そこで登場するのが、MPMと呼ばれる3つの処理方式です。
それぞれ異なる特徴を持ち、目的に合わせて使い分けることで、Apacheサーバーの性能を最大限に引き出すことができます。

prefork:安定重視の昔ながらの方式

prefork方式は、昔から使われている方式で、安定性を重視する場面で活躍します。
あらかじめ複数のプロセスを用意しておき、それぞれに個別の処理スペースを割り当てます。
アクセスがあると、空いている処理スペースに案内し、個別に処理を行います。

メリット

  • 安定性が高い:プロセスが独立しているため、処理が途中で止まることが少ない
  • 複雑な処理にも対応しやすい:プロセス内で個別に処理を実行できる

デメリット

  • メモリ使用量が多い:たくさんのプロセスを用意する必要があるため
  • 処理速度が遅い:プロセス間で通信が発生するため

worker:マルチタスクを得意とする新しい方式

worker方式は、複数のコアを持つCPUを活かしたマルチタスク処理を得意とする新しい方式です。
prefork方式とは異なり、プロセスを個別に待機させるのではなく、まとめて待機させ、アクセスがあった際に適宜呼び出して対応させます。

メリット

  • prefork方式よりも処理速度が速い:プロセス間で通信が発生しないため
  • メモリ使用量が少ない:prefork方式ほど多くのプロセスが必要としない

デメリット

  • prefork方式よりも安定性が低い:プロセスが共有メモリを利用するため、処理が途中で止まる可能性がある
  • 複雑な処理には向かない:プロセスが共有メモリを利用するため、処理内容によっては効率が低下する

event:最新技術で高速処理を実現

event方式は、最新の技術である非同期処理を駆使した高速処理方式です。
アクセスが来た瞬間に素早く対応します。

メリット

  • worker方式よりも処理速度が速い:非同期処理により、複数のアクセスを同時に効率良く処理できる
  • 最も少ないメモリ使用量で済む:必要最低限のプロセスしか起動しない

デメリット

  • 複雑な設定が必要:event方式は設定が複雑で、熟練した知識が必要
  • 比較的新しく、バグや問題が発生する可能性がある

それぞれの方式を使い分ける

それぞれの方式には長所と短所があるため、状況に合わせて使い分けることが重要です。
安定性と複雑な処理を重視する場合は、prefork方式が適しています。
処理速度とメモリ使用量を重視する場合は、worker方式が適しています。
最新技術による高速処理と少ないメモリ使用量を追求する場合は、event方式が適しています。

おわりに

prefork、worker、eventの3つの処理方式は、それぞれ異なる特徴を持ち、Apacheサーバーのパフォーマンスを最大限に引き出すために欠かせない存在です。
それぞれの方式の特徴を理解し、目的に合わせて使い分けることで、より効率的なWebサーバー運用が可能となります。